起業成功者インタビュー

事業内容

東日本大震災の直後に起業し、地元の水産加工会社や、漁師さんへの「業務用」資材を納めています。震災後当時、沿岸部には、「漁に出たい」という意志や熱意がある漁師さんが多くいたのですが、なかなか資材が思うように手に入らなかったり、高かったりしていて。そこで、安くていいものを探していたところ、運よく韓国の会社と繋がることができ、水産用の1トンタンクや、わかめ用のネットや、船で使うイカリなどを輸入して納品しています。

特色・強み

韓国の製品に特化しているところです。石巻で韓国製を売っている企業はなく、韓国への輸出は多いのですが、輸入はなかなかありません。なので、日本とあまり変わりない製品で良いものを日本より安く提供できる点が強みであり特色です。特に震災直後、漁師さんが海に戻る際、同じような品物であれば、いくらかでも安い方が良いという要望がありました。10個20個100個とある程度の数をまとめて買うことは、時に結構大変なのですが、漁師さんは、皆やる気があるのでそれを叶えたいと思っています。頑張って欲しいですね。


起業のきっかけ

元々、地元の漁師の方々へ主人の会社が資材を納めていたのですが、震災直後、「自分達は海に出ないと食べていけない、浜で生きたい」とわかめ漁に出ようとする沿岸部の漁師さん達に出会いました。ただその頃、資材を供給する工場も被災したため、なかなか資材が入りにくく、海に出たくても出られない状況でした。その状況をみて、何とかしてあげたい!と思っていました。そんな折、たまたま家族で身を寄せていた実家で、家を貸していた大工さんの連れてきた韓国人の方と知り合う機会がありました。その方は、普段は青森でお仕事をされているのですが、石巻でも一定の期間わかめをとっている方で、「資材を提供したいがなかなかない。」と相談したところ、アドバイスをもらい、韓国の製品を納めるという方法を考えるようになりました。一トンタンクや、ネットなどの韓国製品を輸入するために、韓国との取引のために起業したという感じです。当時は私自身も被災して、旦那の経営している会社も家も全壊していて、大変だったのですが、旦那の「こんな時だからこそ、やらないといつやるの!」という熱い想いに感化されて、また沿岸部の方々のやる気に後押しされ、細く長くでも続けていきたいと起業を決意しました。

起業して良かったこと

まずは、お客さん(漁師さん)がとても喜んでくれたことが良かった事です。そしてその縁を繋げてくれるのが嬉しいです。沿岸部は隣近所が友達で、「どこどこの紹介」と言うだけで、お客さんが増えたりします。もちろん、変なものを納めるとダメで、その噂もすぐに広まってしまうのですが、人と人の繋がりを感じることができます。また、もともと韓国の雰囲気が好きだったので、韓国とも繋がれたことは、良かったことです。私が韓国へ行くと、おもてなしをすごくしてくれて、だからというわけではないですが、人柄の良さは感じますし、信頼もできます。

起業する際に大変だったこと

知り合った韓国人の方が片言の日本語だったので苦労しました。思いが伝わらない時、説明するのが大変でした。また、輸入など初めてだったので、送金や書類の点でも苦労しました。送金の際、韓国では品物が手元に届かなくても、先にお金を支払うという文化だったのです。信用していないわけではなかったのですが、やはり心配で。韓国語を習っていた頃の先生には、韓国人の中にはいい人そうに見えてもそうでない人もいるから、気を付けて!と言われたりもしました。なので、信用できると思えるまで、何回もお会いして、最後は輸入先として紹介いただいた韓国の会社社長との人間関係が構築できたと思えたこと、そしてその人柄のよさに惹かれて、取引を決めました。その際は、韓国の文化も考慮した上で、送金は3分の1をまずお支払いし、残りを品物納入後という形にしました。


目標・夢

家族が最初の単位だと思うんですよね、やっぱり。家族が幸せじゃないと自分もいきいきできないし、子供を見てくれる旦那がいてこそこうやって東京にも出てこると思うので、家族が幸せで暮らすことができて、その延長に、仕事があれれば良いかなと思います。あと、やはり私も、石巻生まれ、石巻育ちで、この町が好きなので、自分の子供にも大学を卒業した後、いずれは戻ってきてもらって、石巻で暮らしてほしいです。そして一緒に子ども達と石巻という町を作っていきたいです。東京で刺激を受けて、持ち帰ってもらって活かして欲しいと思います。

起業を考える女性にひとこと

やっぱりお客さんの要望をよく聞いて、何を求めているのかを重要視していくことが大切で、自分本位でないお客さんに喜んでもらう事業をしていくことが大切だと思います。
旦那は相談すれば乗ってくれるのですが、基本は私のすることにあまり口を出さない人です。また、子ども達が学校や、身の回りの事を、自分でしてくれているのがとてもありがたいです。「お母さん仕事忙しいし」と遅く帰っても、旦那や息子が洗濯や食事をしてくれ、助かっています。家族の支えが小さい事でもありがたいです。また、私は、起業上の書類の事などは司法書士などプロにお願いしたので、お金はかかりましたが、楽といえば楽でした。そして、最初からお客さんもいてニーズがあったので、比較的、起業自体の苦労はなかったです。例えば、お菓子作りがやりたいから起業するというのは、自分の夢を叶える起業です。ただ、それだと「今日はお客さん来るかな、今日は売上ゼロ円かしら」など不安だと思うんです。そうではなくて、お客さんがいて、ニーズがあった起業だったのがよかったかなと思います。

萱場 祐子

高校卒業後、スポーツ店に就職。小中高の運動着の管理など担当する。現在は、夫、高3の息子、中1の娘と、4人暮らし。2012年9月に株式会社ユウ・カンを設立


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